前回のクリスマス商戦での玩具メーカーの戦術は、一貫性をとる人間の心理を利用したもの。
その一貫性は約束などのコミットメントをさせることでより強化されることになる。
前回のパターンでは、子供と親との約束がコミットメントとなり、それを一貫することで、まんまとおもちゃを買ってしまうということになってしまうのである。
なぜ人間は一貫性をとりたがるのかというと、
①一貫している人は、人格的にも知的にも優れていると考えられるのが普通。
一貫していない人は、気まぐれで、優柔普段で、軟弱で、軽はずみで、不安定な人と判断される。
②一貫性のある行為は、一般的に日常生活にとって有益である。
一貫した態度で物事を対処すれば、大体においてうまくやっていける。
③一貫性をとることによって、複雑化した現在の生活環境下で深く考えないで行動できる。
そして一貫性であるべきように行動するようにしつけられて育ったからである。
■コミットメント(小さな要請)と一貫性の実例
まず、調査として「アメリカ癌協会のために3時間ほどボランティアに参加してくれるように依頼されたらどう答えると思いますか?」という質問をしました。
このとき、調査者から無慈悲な人間だと思われたくないし、自分自身でもそう思いたくないので(多少格好つけもある)多くの人々が、「自分はボランティアに参加するだろう」と答えたのだった。
そして、この些細なコミットメントを引き出す手続きをとったことにより、数日後アメリカ癌協会が、「近所で寄付を集めるボランティアをやってくれないか」と実際に電話で依頼したところ、そのような手続きをしなかった場合に比べて、参加者が8倍になった。
小さいことから始めて、そこから築き上げよ!
セールスの場合は、小さなものを買わせることから始めて、大きなものを購入させる手法をとっている販売店があったりする。
その小さな販売の目的は利益を得ることではなく、一貫性を巧みに利用するためのコミットメントをさせることにあったりする。
■小さな要請から始めて、大きな要請を承諾させる フット・イン・ザ・ドア・テクニック
1966年フリードマン&フレイザーによる実験「大看板の要請実験」
(関連性のあるものでの実験)
心理学の実験で有名なものですが、カリフォルニアの住宅地に住む家主にボランティアと称して「(家の景観を損なうような下手な字で)安全運転をしようという大きな看板を前庭に立てさせてほしい」というとんでもない要請を2種類の手法で行なわれた。
①これをストレートにお願いした。17%のみOK。
②2週間前に「安全運転をしよう」という7.5cm四方のシールを貼って欲しいとほとんどの人が同意しそうな小さな要請をして、その後、大きな看板を要請したら。76%のOK。
(関連性のないものでの実験)
上記とは別の主婦に
③「カリフォルニアを美しく保とう」という請願書に署名を依頼。その2週間後に「安全運転をしよう」という看板を要請したら。約50%のOK。
これは、署名をすることにより、関係ないものでも、公民道徳にのっとった行動をする公共心あふれる市民なのだ、と自分自身をそう見るようになったために一貫性をもったのが原因と思われる。
したがって、はじめの小さな要請は関連のないものでも本質的な一貫性が取れれば、頼みごとを受け入れやすくすることができるということなのである。
いわゆるフック商材やフロントエンド商材は、利益がないものが殆どであり、そのものの販売が目的ではなく、上記の例にあるように「小さな要請を承諾させてコミットメントさせる」ことが目的のひとつなのです。
そのため、単に販売するのではなく、本来の目的を達成するための顧客の意識をその方向に向けさせるための「ひとこと」が必要となります。
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