「ことば」だけでは伝えきれない。。。。
言ってることと
態度が違っていたらどう思いますか?。。。。
イメージしてみてください。
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SCENE1あなたはアフリカ旅行にいっています。
そして、サバンナを車で走っていると、とある部族の集落が見える。。。
楽しそうに遊んでいる子供たちを見て、車を降り彼らの写真をとる。。。
写真のお礼とばかりに、カバンからキャンディーやお菓子を子供たちに配る。。。
配っているうちに大人たちも集まってくる。。。
彼らの言葉は一切わからない。。。
でもなんとなく、身振り手振りと声でコミュニケーションをとる。。。
細かいことの説明は無理だが、それなりに意志や感情は伝えることができるようで
なんとなく意気投合し、歓迎され、食事を振舞われることになった。。。。
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SCENE2彼女の誕生日、なけなしの小遣いで買ったプレゼントをポケットに待ち合わせのカフェに。。。
そのカフェのマスターは10年来の知人。。。
ここのホットチョコは彼女の大のお気に入り。
この店にくると必ずたのむ。
そこでマスターにマグカップに用意したリボンでプレゼントの指輪をつけて出してもらえるように依頼する。
ちょっとした演出だ。
しばらくて彼女が店に。。
私の前に座ると、とりあえずいつものホッとチョコを注文する。。。
しばらくすると店のBGMが変わる。ジノ・ヴァネリのナイトウォーカー。。
彼女のお気に入りの曲だ。(さすがミュージシャン!渋い!渋すぎる)
そしてテーブルにカップが置かれる。
「誕生日おめでとう。。。」
彼女は目を潤ませ顔を伏せる。。。そして消え入りそうな声で「ありがとう」。。。。
えっ?それってどっち???(嬉しいの?それとも?)
※SCENE1.2ともにフィクションです。
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言葉が通じなくても身振り手振りでコミュニケーションができたりしますし、(SCENE1)
言葉と裏腹の表情(SCENE2)=
ダブルバインド 。。。に対して人は敏感に反応するものです。。。
ですから、コミュニケーション上で言葉以外の視覚や音声などの重要性が語られたりします。
そのような場合、紹介されるのがアメリカの心理学者メラビアン(マレービアン)の法則です。
この法則は、ネットで調べると否定的な意見が見受けられますが、会話上での実験から導かれたものではなく、単語を用いた単純な実験から導かれたものです。
※この実験は、単語の意味と相反するような表情や声音があった場合、
違和感を感じたら、何を優先してその意味を判断するのか?という実験です。その意味では、一般的なコミュニケーション上での「内容の伝達」比率という意味ではではありません。この辺を誤解している人がいるのかもしれません。第一印象なんかでは該当するでしょうが、この実験は
視覚、声音、言語の要素に不一致(矛盾)があった場合どのように判断するかというものです。
メラビアンが行なった著書「Silent messages」のTotal liking=好意の総計のデータでは
7%-38%-55% Ruleフェイストゥフェイスのコミュニケーションで
態度と言葉に矛盾を感じた場合人は以下の比率でそのメッセージの内容を判断する。
55%=ボディランゲージ Visual Liking (視覚)
38%=声のトーン Vocal Liking (聴覚)
7%=言葉 Verbal Liking (言語)
当然これらは、数値化するために、単純な統計実験がベースとなっています。
まあ、好意の統計Total Likingですから論理的というよりもむしろ感情や態度に関する情緒的なものです。
実際にメラビアンの実験では、
まず、「好意」「中間(どちらでもない)」「嫌悪」のニュアンスを表す言葉を3つずつ選びだし、(例えば「好意」なら「甘い」「ありがとう」「好き」)
その9つの言葉を、「好意」「中間」「嫌悪」の声色でテープレコーダーに録音する。
そして「好意」「中間」「嫌悪」の表情をした顔写真を1枚ずつ用意する。
これらの下準備をして実験を行う。
被験者は、たとえば(怒った)写真を見せられながら、(悔しそうな)声音で(好きという)言葉を聞かされ、その言葉を発した人間がどういう感情であったかを記録する。
というように単純な統計が行なわれた。
実験の内容から考えれば、シチュエーション的には、冒頭のストーリー(SCENE1)のように
単純なコミュニケーション(感覚的な・情緒的なもの)になればなるほど、
この実験データは当てはまることになります。
したがって初対面の挨拶のときに情緒的なコミュニケーションをする場合は特に非言語表現が重要といえます。
その反面、伝える内容が複雑で論理的な要素が多くなってくる場合には、言語の比率が多くなってくると考えられます。
どういうことかといいますと、英語が得意でないのに、ビジネス契約締結について法的内容を含めて交渉するとしたら、どんなに非言語表現を駆使しようが、内容は理解できないということ。
したがって、コミュニケーションを構成する要素のそれぞれの影響度は、伝える内容に応じて変動するものと認識してもいいでしょう。
論理的な長文ではどうだかと気になるところですが、
その実験は困難で非常に難しく、こんなに単純に比率表現できないと思います。
つまり、発せられる言葉「単語」の受け止め方については、以下のように「シチュエーション」で判断する場合もあります。
単純にたとえますと、「俺はタイ」なんて言葉だったら。様々な意味になります。
旅行の話をしているなら、タイに行きたいとか。
海釣りをしているときなら、ねらっているのは鯛とか。
料理を頼むときなら、食べたいのは鯛。
ワイシャツはそのままでいいの?
と聞かれたときはネクタイをするとかの意味として受け止められます。(発音では、同じタイなので)
ですから、文章になった場合には、メラビアンの法則のように単純なものにはなりません。
態度と言葉の矛盾。。。
重要なのは、物事を伝えるときコミュニケーション要素の同一性や視覚からくる感性の問題です。
そういう意味では
ダブルバインド仮説 と同じです。
たとえば、テキスト文書でみると「嫌だ」という言葉でも、
通常のコミュニケーションでも
女性が
「今日も綺麗だね」
なんて言われたときに
「嫌だ。何いってんのよ~。」
は、喜びとか照れとか好意の意味だし、
「○○って知ってる?」
「嫌だ。しらなかった~」
では、特に意味がなく中立だったりするし、
子供に嫌いなニンジンを食べさせるときの
「嫌だ~!」
は、
ずばり嫌だったりする。
メラビアンの実験は、このようにシチュエーションとして判りやすい場合とは別に、
言葉と態度などに違和感が発生した場合の反応を単純に数値実験したといえるのです。
したがって、ある程度の文章を相手に伝える場合、
その意味を伝えるのに、
コミュニケーションの要素がそれぞれ異なる表現をしていたら、
伝えるべき内容が一層伝わらなくなる(解らなくなる)ということです。
そして伝わらないだけでなく意味が背反して
誤解されるようなことが起こったりするのでやっかいなことになります。
実践的に、営業にこの法則を当てはめてみるならば、
セールストークのはじめの段階では、
非言語表現を重視してコミュニケーションをとり、
クロージングに近づくについて言語表現を重視し、
論理的なコミュニケーションへと移行していくということなのでしょう。
論理的なコミュニケーションについてメラビアンの法則で説明できない。
数値で示す説得力のある法則はありませんが、
対人認知という側面から行動や服装などの視覚的要素には充分配慮すべきです。
チャルディーニの論文で紹介されている
レオナード・ビックマンやドゥーブ&グロスの実験でも
服装や外見や装飾品などの外見の影響力は実証されていますが、
メラビアンのように単純指標としてのインパクトのある引用ができないので
外見や非言語表現などの論拠として、
メラビアンが誤用されることになったのかもしれません。
人間は一般に、内容からよりも外見からいっそう多くを判断する。だれもかれも眼は持っているが、洞察の才を持つ者は稀である。 by マキャベリ
心理学でも外見による対人認知の影響は指摘されていますので、
非言語情報が重要で、
それら要素との一致が重要であるという意識はすべきことではあります。
信憑性を高めるのに法則と数値があると非常に有効です。
そういう意味でメラビアンの法則は一人歩きしてしまったのでしょう。
参考文献:
天使と悪魔のビジネス用語辞典 
参考にしてますが私の見解は多少違います。(反論しているわけではありません理解を高めるためです。)
R.B.チャルディーニ著
影響力の武器[第二版]
参考サイト
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