2007年8月28日火曜日

自殺の連鎖

昨年の暮れ頃ですが、中高生の自殺や経営者の自殺などがよく報道されていました。
実は、これらの報道は、非常に恐ろしい現象を巻き起こしているではないかと思っていたのです。
つまり「本来なら死なないで済んだ人間を巻き込んでいる」可能性についてなのですが。


■自殺の連鎖に対する認識

心理学の法則で「ウェルテル効果」を理由に連鎖が起こっているという指摘に対しては、この原理の紹介のされ方が「有名人の自殺に連鎖する」とされているので、該当しないものと考えられがちで軽視されているのが現状です。
しかし、1947~1968年に英国と米国で調査されたことだですが、自殺記事と実際の自殺増加数の統計からすると、一般の人の自殺記事が報道された場合でもあきらかに自殺が増加するという結果でていることは、あまり知られていません。(しかも報道された地域のみに起こっている)
そして恐ろしいことに、このウェルテル効果に「社会的証明の原理」を加えると年末に日本で起こっていた現象の説明ができるのです。

ウェルテル効果(wiki:日本語))

●自殺記事と自殺増加の因果関係
The Influence of Suggestion on Suicide:
Substantive and Theoretical Implications of the Werther Effect
自殺への示唆の影響力: ウェルテル効果の現実上のそして理論上の因果関係(ディビッド・フィリップス)

1947~1968の英国と米国の自殺報道と自殺の増加数の因果関係を証明したレポート
この傾向は、人の真似をしがちな10代の若者が犠牲者となりやすい。


社会的証明の原理(ロバート・B・チャルディーニ 1991)

人間はどう振舞えばよいのか確信がもてないとき、他者の行動を参考にして行動を決める傾向がある。
そして「自分と似ている人の行動を見ているときに最も強く作用する」

自殺予備軍の人間は、いじめられてその状況から抜け出す方法が見つけられず途方にくれています。(自殺する中小企業経営者もそう。)
そこに同じ境遇の人間がメッセージを残して自殺した。。。
自分と似ている人の行動がつぶさに報道され頭の中に映像となりイメージされる。
そこで、その自殺者の行動を参考にして自分の行動を決めてしまう。
という原理が働いているのではないでしょうか?

報道されている自殺者のメッセージの内容、自殺者の境遇の類似性、その辺りを見ていれば、本来、深い悩みを抱えて苦しみながらも耐え続けて時間をかけて乗り越えることができたはずの人間が、連鎖的に行動を決定している可能性が非常に高いということに気づくだろう。

社会的証明の原理によるところの、自分と似ている人の行動を「見ている」ときに最も強く作用するということを考えると、自殺を題材にしたドラマや映画が放映された時、劇的な効果を発する可能性もあるので、(実際に自殺に至る過程を映像で見せてしまうことになるので感情移入することが容易なので)無思慮なTVプロジューサーがいないことを祈るだけです。

しかし、これは報道やメディアを否定することになるので視聴率や購買部数を気にするメディアでは、取り上げることができない現象でしょう。
そして、これらの意見が世の中に出てきても、否定する方向で情報誘導されてしまう可能性が高いです。
ネットでの書き込みも情報誘導されやすい人間が多いので。。。。


さらに説明できない現象

社会的証明の原理を研究している心理学者は、さらに自殺者の報道があると事故の発生率が高くなるという統計上の指摘をしています。
さらに自殺者と殺人事件の組み合わせでの報道が行なわれると更に増加するという説明しきれない現象が起こっているとの指摘があるでのです。
(事故については、保険金を残すために事故に見せかけた自殺があるのかもしれないが)
ある意味、報道が心理状況の不安定さや不注意な状況を促進し、今の社会現象を起こしている可能性があることを示唆しています。

したがって、映像を見たり、実際に目にするということが最も影響があるそうなのですが、インターネット(Youtube等)を含むメディアの発達と社会不安が正比例した状態で進展するという理論は、まだ誰も指摘していませんが(と思いますが)、そのような状況にならないことを祈ります。

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